モルタル外壁は住宅によく使われる外壁材の一つです。
これまでモルタル外壁の建物をたくさん携わらせていただいた中で、年数の経過によりクラックなどの劣化症状が出ているのをよく見ます。
もしクラックなどの劣化症状が出ていましたら塗装する前に修繕が必要です。
こちらではモルタル外壁の特徴を踏まえた上で、必要な点検や修繕についてお話しさせていただきます。
そもそも、モルタル外壁とは?
モルタル外壁は1980年〜1990年代あたりの建物に主流な外壁材です。いまでこそサイディングが主流になりましたが、塗装工事などのリフォームではまだまだ工事させていただく機会がたくさんあります。
モルタルはセメントと砂、水を混ぜた材料です。ちなみに材料が似ているコンクリートもモルタルを主原料とし、そこに細骨材と粗骨材、水を混ぜ合わせています。
モルタルは現場で材料を混ぜ合わせてつくる湿式工法と呼ばれる外壁材です。職人の手によって施工され、既製品にはない意匠性のある仕上がりが特徴です。
モルタル壁の種類
モルタルは同じ素材でも様々な仕上げ方があります。以下にモルタルの仕上げ方法をご紹介いたします。
・リシン吹付
表面に細かな粒が施され、ざらざらとした質感が特徴です。気品のある意匠性があり、よく用いられる仕上げ方法の一つ。塗装材に骨材を混ぜて吹き付けて仕上げいます。
・スタッコ仕上げ
塗り付けたセメントモルタルなどの塗材をコテや木片で叩いて引き起こして仕上げるのが本来のスタッコでしたが、現在ではセメントリシン材や合成樹脂エマルション系の吹付塗装スタッコ材の登場などにより工法が変化して仕上げ方も幅が広がりました。厚い塗膜を形成し、重厚感のある仕上がりが特徴です。
・吹き付けタイル
専用スプレーガンを使用し、塗料を吹き付け「吹き放し」や「ヘッドカット」などの模様を施す仕上げ方です。陶磁器のような滑らかな質感が特徴です。
・リシンかき落とし
リシンを吹き付け後、掻き落とし器やワイヤーブラシなどを使って表面を引っ掻き、あえて表面を荒らして仕上げる方法です。ざらざらした独特な風合いと落ち着きを感じさせます。
・左官仕上げ
左官職人の手によりコテを使って模様をつける仕上げ方法です。テクスチャーは様々あり、職人一人一人の手によるもののため、どれも同じものはない味わいのある仕上がりが特徴です。
モルタル壁の特徴
メリット
・防火性能が高い
・自由度が高く意匠性のあるデザイン
モルタルは不燃材のため耐火性に優れています。また、仕上げは職人の手によるもののため、デザインの自由度が高く、意匠性の高さが魅力的です。建物一棟一棟が異なる仕上がりになるため、サイディングなどの既製品では絶対に出せない味わいがあります。
デメリット
・クラック(ひび割れ)が発生しやすい
・塗装が古くなると水を吸う
・汚れた跡が残りやすい
モルタル自体が保水性のある素材なため、塗装が古くなると汚れも一緒に染み込み美観性が低下します。また、保水性を持つとクラックを起こしやすくなります。
防水性を保つためには定期的な塗装が必要です。メンテナンスの頻度は他の外壁材と比べるとやや多いです。
モルタル壁 セルフ簡単外壁チェック
・汚れやコケ、カビの発生
汚れやコケ、カビが見られる場合は塗装が古くなり、メンテナンス時期にきている大可能性があります。
また、凹凸の大きい模様が施されている場合は汚れが残りやすいので、美観性を保つために定期的に水洗いするといいでしょう。
この時に硬いブラシを使ってしまうと塗膜を傷つけてしまうため、ブラシを使う場合は外壁を傷つけない柔らかい素材のものをお選びください。
・ひび割れ(クラック)の発生
外壁が保水性を持つと乾燥と収縮が大きくなりクラックが発生しやすくなります。とくにモルタル外壁は硬質なため、その症状が顕著に現れますのでご注意ください。
軽微なクラックをヘアークラックといいます。クラック幅0.3mm未満が目安となっており、塗膜内で症状が納まっている状態です。緊急性はありませんが、塗装の劣化の後期の症状ですので、これ以上症状が大きくならないように近い時期に塗装を行なっていただくことをおすすめします。
ヘアークラックがさらに被害を広げると構造クラックに発展します。構造クラックは外壁内部まで被害が及び耐震性の低下が懸念されます。補修では外壁そのものを補修する必要があるため、緊急性の高い状態です。
・色褪せやチョーキングの発生
塗装が劣化してくると色が褪せてきます。雨が降った時に染みた跡が中々消えない場合は塗装が劣化している一つのサインです。
外壁に触れた時に白い粉状のものが付着した場合は、チョーキング現象が起きています。チョーキング現象とは塗膜の樹脂が劣化して顔料が表面に浮き出てくる現象のことです。色褪せと同様に塗装が劣化しているサインですので、近いうちに塗り替えをご検討ください。
・塗膜の浮きや剥がれ
塗膜は下地に密着することで長く定着します。その塗膜が下地から剥がれてくると浮きや剥離といった症状が表に出てきます。劣化症状の後期に出てくるもので、再塗装する際は剥離した塗膜を一度除去する必要があります。そのまま放っておくと正常な塗膜まで下地から浮いてきてしまうため、被害が広がる前に塗装をおすすめします。
モルタル壁のメンテナンス方法
①モルタル壁の塗装
モルタル外壁の状態を保つためには塗装が基本です。
年数の目安は10年でして、色褪せやチョーキングなどの劣化症状も見ながら塗装をご検討していただきます。クラックまで症状を大きくさせてしまうと補修が必要になるため、色褪せやチョーキング、汚れの付着などの劣化の初期の段階で塗装していただくのが理想です。
外壁が崩落している場合は下地からつくり直す必要があります。水が侵入している場合は雨漏りも疑う必要がありますので、症状が進んでいる場合はプロに細かく調査してもらいましょう。
②カバー工法 100~250万円
カバー工法とは重ね張りとも呼ばれており、既存モルタル外壁をそのままに、その上に防水紙を覆い、新しい外壁材を張る工法です。劣化が激しく、塗装では対応できない場合にご検討していただくことが多いです。
工事規模が大きくなりますので、塗装と比べると費用がかかります。できるだけメンテナンスにかかる費用負担を軽くするためにも症状がひどくなる前に塗装をして建物を保護しましょう。
③部分補修
クラックやコーキングの劣化などがある場合は塗装する前に補修が必要です。モルタル外壁は材料を練り合わせて施工するため部分的な補修が可能です。
東京外壁塗装専門店は建物診断や見積もりを無料で行なっております。大切なお住まいを長くご使用いただくためには定期的なメンテナンスが必要です。もし、お住まいの状態が気になっていましたら診断いたしますのでお気軽にご相談ください!
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